昭和32年、武家屋敷建ち並ぶ街並みと桜の名所で知られる小京都・秋田県角館町(現・仙北市角館)に一軒の小さな菓子工房が誕生しました。それが「唐土庵いさみや」の前身「いさみや商店」です。
若き経営者は、秋田の伝統菓子であったもろこしを、優れた歴史文化と美しい風情漂う角館の銘菓として売り出したいと考えました。当時、町の菓子屋では、大抵この「もろこし」が作られていて、新参者が伝統的な菓子の販売に挑むには、並々ならぬ技術と知識が必要でした。
こうして挑戦が始まりました。どうしたらお客様に気に入っていただけるか、甘すぎて硬い「もろこし」を食べやすいようにする方法はないか。研究の末、ついに「生もろこし」が完成します。硬い菓子だったもろこしを、焼きを入れずに生で食べるようにする―、まさに発想の転換でした。
生もろこしは評判を呼び、おかげさまで「角館なら、生もろこし」と言われるまでになりました。そして、その後も次々と新しい「もろこし」を発表。もろこし一筋を貫き、現在も尚、お客様に愛される「もろこし」の探求に挑戦し続けております。